あるところに、リンという名の女の子がいました。
銀の髪に黒い瞳、少し大きめの白衣を着た13歳。少し変わったところもありますが、明るく元気、おまけにとってもずる賢い子です。
彼女のパパはとても有名な科学者 兼 発明家 兼 変人。そんな風変わりな天才を誰よりも深く理解していたママは何年か前に病気で他界、今は不思議系な父とマイペースな娘、二人きりの生活を送っています。

そんなリンは、とある日の昼下がり、相棒のぬいぐるみであるクロタンと共にパパの研究室に忍び込みました。不思議な発明品で溢れる小部屋をあさっていて見つけたのは、古びたオモチャ箱。そしてその中に小さな扉、少し錆びた金色の鍵。
抑えられぬは好奇心。少々警戒しつつも、鍵穴に鍵を差込みドアノブを回します。

すると――



開かれたドアの暗闇から、ぬらりと現れた一人の男。かろやかに一礼、怪しい微笑み。
あんた誰とつっこみを入れる隙もなく、リンとクロタンはその男に手を取られ、小さなドアをくぐります。

しばしの暗転、まどろみの後に気がつくと、そこは見知らぬ馬車の中。窓の外には美しい庭園、そしてそのまた向こうには大きな大きな遊園地。
馬車を止めて降り立つと、門の前で待っていたかわいらしい白ウサギの少女から、この遊園地に入るにはチケットが必要だと告げられます。そしてそのチケットは、先ほどのドアの「鍵」と引き換えだと言われ、リンは特に疑いもせずに鍵を差し出しました。

が!

「こ、この鍵はこの世界の扉の鍵。つまり、この鍵がなければ、あなたはこの世界からで、出られ、出られません!たった今からあなたはアリス、白ウサギであるわ、私を追いかけて、この鍵を取り返す、げ、ゲームをしていただきます!」

しまった罠だったのか!と気がついても、小さな鍵は白ウサギの手の中に。
じっと、白ウサギを見返すリン。ゆっくりとその小さな唇を震わせて紡ぎだした言葉は、

「いいわ、出ないから」



完全マイペース、欲望の赴くままに疾走開始。追うべきウサギに追ってくれと懇願される、我らがアリスはどこへ行く?


不思議の国のアリスをモチーフにした物語。奇妙な遊園地の中で出会う奇妙な住人達。彼らの真意は何なのか。リンの暴走を止めることはできるのか。むしろリンの魔の手から、不思議の国を守ることはできるのか。

時に黒く、時に赤く、残りは全てテンションでお送りする、ハッチャケドラマです。